種を遠くに飛ばすために　自然界の賢い形を学ぶ　バイオミミクリー

自然の形を真似てできたものとは

 生き物は、自然の中を生きるため、賢くさまざまな形で存在しています。

そんな生き物の形について　学習できます。

自然の形を真似て、新しいものを作りだすことを「バイオミミクリー」と言います。

バイオミミクリーは「Bio（バイオ）＝生物」という言葉と「Mimicry（ミミクリー）＝真似をする」という言葉が合わさってできた言葉で、例えば新型の風力発電機や、換気扇の羽は、ザトウクジラのヒレ。飛行機は、アルソミトラの種や、鳥の羽など自然にある飛べるものからヒントを得てつくられてきました。

【空を飛ぶ種1】

まずは、種をより遠くへ運ぶために　体の一部を飛べるかたちにしたアルソミトラ・マクロカルパを紹介します。

アルソミトラ・マクロカルパは　風の力で空を飛ぶことができます。

アルソミトラは、ウリ科の植物で、主に熱帯のジャングルで育ちます。

ツルを伸ばして木に巻きつき、30ｍ以上の高さでも育っていきます。

そして　高い場所に実をつくり、そこから羽のある種を飛ばして遠い場所へ種を運びます。

風に乗ることができると　数百メートルも遠くへ飛ぶこともあります。

 アルソミトラ・マクロカルパの模型

つくって試してみましょう。

手を離しただけで飛んでいきます。

落ちる時に、羽が下から受ける空気の力によって飛ぶことがわかります。

【空を飛ぶ種2】

ツクバネとう少し変わった種を作る植物があります。

名前は知らなくても　どこかで見た形をしていませんか？

ツクバネの種は、葉で風を受けて遠くまで飛んでいくことができます。

ツクバネはビャクダンと呼ばれる植物の仲間の一種です。

他の植物にくっついて大きくなる半寄生性と言われるタイプの植物です。

半寄生植物は、ほかの木にくっつき、栄養をもらって育つ賢い植物です。

そのためツクバネは同じ木から栄養を取りすぎないように、ほかの木に飛んで移動します。

ツクバネの模型

椅子の上などに立って、なるべく高いところでそっと手を離して落としてみましょう。

クルクル回って、ゆっくり落ちていくことがわかります。

ツクバネは長い時間空を飛ぶことで　違う木にたどり着きます。

種に葉がついていると、空気の流れを葉で受け止めることができ、長い時間浮くことができます。また、葉が少し傾いているので、葉が受ける力が少し偏り、クルクル回ります。

回りながら落ちると、ゆっくり落ちでいくことができるので、風を受けて遠くへ移動できます。

この教材キットには　ほかに、トビウオやツバメやザトウクジラのヒレの模型が入っています。

全部で5種類の実験ができます。

バイオミミクリーは、飛行機だけでなく、私たちの生活に大きくかかわっています。

たとえば、ベリベリとはがしたりつけたりする事ができる「面ファスナー」があります。

面ファスナーはスイスのジョルジュ・デ・メストラルとういう人が「ゴボウの花と種」の服にひっついてくる性質からヒントを得て、発明されました。

また、ハニカム構造は「蜂の巣」の様子から　発明されました。ハニカム構造は六角形が並んだ形をしていて、少ない壁で強度を高めています。

壁を四角形で作った場合は、壁の枚数が多く特定の方向に対して形が変形しやすいという問題がありますが、六角形にすることで、壁の数を少なくして、加わった力をうまく分散することができます。

軽くで丈夫なので　飛行機などにつかわれています。

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